瓦棒葺きの屋根は、昔からある屋根の形状です。
瓦棒葺きの屋根と言われてもピンとこないかもしれませんが、トタン屋根といえばわかる方も多いかもしれません。
昔の瓦棒葺きにはトタンが使われていたため、まとめてトタン屋根と呼ばれることもありました。
ただ、実際は「瓦棒葺き=トタン屋根」というわけではありません。
瓦棒葺きというのは、あくまで屋根を取り付ける一つの工法のことを指します。
ここでは、瓦棒葺きの屋根について、基礎的な情報を紹介していきたいと思います。
目次
瓦棒葺き屋根とは?
瓦棒葺きとは、金属の屋根材を使用する際に用いられる工法の一つです。
屋根の傾斜方向に木材を打ちつけ、その上から金属板を取り付けていきます。
この木材を瓦棒と呼ぶため、工法のことを瓦棒葺きと呼ばれています。
瓦棒葺きは、棟に対して屋根材が直角となる縦葺き工法の一種です。
縦葺き工法とは、屋根の棟から軒にむけて屋根材を取り付けている屋根のことです。
縦じまの見た目が特徴で、金属屋根に多く見られる工法となっています。
瓦棒葺きには「瓦」という名前が付いていますが、陶器でできた日本瓦のような屋根材は使っていません。
施工される屋根材は、金属製のもののみです。
少しややこしい名前となっているので、瓦葺きの屋根と間違えないようにしてくださいね。
瓦棒葺き屋根に使われる代表的な屋根材
瓦棒葺きは、金属製の屋根材に使われる工法です。
最近では優れた金属製の屋根材も登場しているので、今後使われる機会も増えてくるかもしれません。
瓦棒葺き屋根としては、以下の2種類が代表的な屋根材となります。
トタン屋根
トタンは、鉄でできた鋼板の表面を、亜鉛でメッキ処理した屋根材です。
亜鉛でメッキを施すことで、金属であるにも関わらずサビに強い機能を持ち合わせています。
トタンと言うと錆びた印象があるかもしれませんが、それは長期間放置されているものが多いからでしょう。
トタンは安価な上にサビにも強いと言うことで、一時は屋根材として広く普及しました。
特にトタンは非常に軽量なため、雪が屋根に積もる地域では重宝されてきたのです。
ところが、トタンには酸性やアルカリ性に偏ると、メッキの腐食速度が速まるという弱点があります。
工業の発達などが影響して酸性雨が問題となると共に、トタンの屋根材としての機能が疑問視されるようになりました。
また、トタンの表面に傷がつくとそこから一気にサビが広がってしまいます。
このような事柄が影響して、最近ではトタンが屋根材として使われる機会はほとんどなくなっています。
ガルバリウム鋼板屋根
ガルバリウム鋼板は、鉄でできた鋼板の表面を、アルミニウム・亜鉛・シリコンでできた合金でメッキ処理した屋根材です。
メッキにアルミニウムとシリコンを加えることで、トタンよりもサビに強くなっています。
ガルバリウム鋼板は、トタンのメリットを引き継いだ上で弱点を克服した屋根材です。
トタンと同じく非常に軽量な屋根を実現できる上に、酸性雨が降ったとしても錆びやすくなることはありません。
メッキが強化されたことにより、高い耐久性も実現されています。
屋根材として非常に高いポテンシャルを持っているため、最近では屋根のリフォームで採用されることも多くなってきています。
全く錆びないというわけではありませんが、長期間建物を風雨から守ってくれる、優秀な屋根を実現できることでしょう。
瓦棒葺き屋根のメリット
瓦棒葺きは、屋根の取り付け方法としては多くのメリットがあります。
ただ、トタンが屋根材として使われる機会が少なくなったため、目にする機会も減っていきました。
ところが最近では、ガルバリウム鋼板の屋根が注目を集めています。
そのため、瓦棒葺きを検討する機会も増えてくるかもしれません。
瓦棒葺き屋根には以下のメリットがあるため、ガルバリウム鋼板の屋根を採用する際の参考にしてみてください。
排水性能が高く勾配の緩い屋根に採用できる
瓦棒葺き屋根の場合、屋根の棟から軒までが一枚の屋根材で覆われます。
この屋根材の表面は平らで凹凸が全くないため、雨水を効率よく排水することが可能です。
排水性能が非常に高いため、勾配の緩やかな屋根にも採用することが可能となります。
建物がある立地や地域によっては、建物の高さに制限があり屋根の勾配を十分に確保することが難しいケースもあるかと思います。
そのような場合でも瓦棒葺きを採用すれば、雨漏りの心配のない屋根を実現できるでしょう。
どのような屋根形状でも勾配でもと取り付け可能なので、非常に汎用性の高い屋根の工法といえます。
屋根材の加工も非常に簡単なため、少し複雑な形状の屋根でも簡単に合わせることができる点も一つのメリットですね。
施工が簡単
瓦棒葺きの工事では、あらかじめ屋根のサイズに合わせて工場で加工した屋根材料を取り付けていきます。
現場の作業は屋根材料を張るだけなので、他の屋根に比べると施工が非常に簡単なのです。
また、ある程度大きな屋根材を取り付けていくので施工に時間もかかりません。
一つの屋根材を取り付けるだけで広い面積をカバーするため、通常のスレート屋根などに比べると短時間に屋根を取り付けることが可能です。
施工が簡単ということは、それだけ短時間で屋根が完成するということです。
施工が短時間で終われば、それだけ人件費を削減することができるので、コストを抑える効果にも期待が持てます。
高機能なガルバリウム鋼板の屋根になるべく安くリフォームしたい場合は、瓦棒葺きでの施工も検討してみるといいかと思います。
瓦棒葺き屋根のデメリット
金属製の屋根材を選択する場合、瓦棒葺きを選択すれば排水性能が非常によくなります。
屋根の主な役割は雨から家を守ることなので、排水性能の高さは必須といっていいでしょう。
それならば、全ての金属屋根が瓦棒葺きを選択してもよさそうです。
しかし、瓦棒葺きにもデメリットがあるため、他の工法で施工されることも少なくありません。
瓦棒葺きを屋根に採用する場合、次の弱点を考慮した上で屋根の工法を選択するようにしてください。
瓦棒が雨水を吸収しやすい
瓦棒にも金属板は被せられているため、基本的には内部に雨水が浸入することはありません。
瓦棒葺きは全面をほぼ隙間なく金属板で覆われる形となるので、雨漏りにも非常に強い屋根にすることが可能です。
しかし、軒の部分はどうしても隙間が生じやすい部分のため、瓦棒が雨水を吸収してしまうおそれがあります。
木材は湿ると腐食が進行してしまうので、屋根にとっていい状態とはいえませんね。
瓦棒葺きの屋根は、瓦棒に全ての屋根材を固定しています。
そのため、瓦棒の腐食は屋根にとって大きな問題につながるおそれがあるのです。
もし、瓦棒が腐食した状態で強風に煽られたりすると、屋根材が丸ごとめくれてしまうことも考えられます。
瓦棒の腐食は、屋根材の下で進行していくため、なかなか見ただけでは気が付きづらい不具合です。
そのため、塗装などのメンテナンスの際に、合わせて業者にチェックしてもらうようにしてください。
瓦棒葺きによく似た立平葺きとの違い
瓦棒葺きの屋根には、瓦棒が水分を吸い込みやすく腐食しやすいという弱点があります。
その弱点を克服するために開発された工法が、立平葺きという屋根の作り方です。
立平葺きには、瓦棒葺きの最大の特徴である「瓦棒」を使用しません。
木材を使用することなく、金属同士のかみ合わせだけで屋根を固定していきます。
雨水で腐食してしまう木材を初めから使用していないため、瓦棒葺きの弱点を克服できたということです。
また、木材を必要としないため、瓦棒葺きに比べて瓦棒にあたる部分が小さくなります。
これにより、瓦棒葺きよりさらに平らな見た目となるので、シンプルな建物を実現したい人からの人気を集めつつあります。
その他の特長においては、瓦棒葺きとほとんど変わりはありません。
排水性能が非常に高い屋根に仕上がりますので、長期間雨漏りからあなたのお宅を守ってくれることでしょう。
瓦棒屋根はカバー工法も可能!
瓦棒葺き屋根には、軽量な金属製の屋根材が施されているので、カバー工法も選択できます。
葺き替えより安く屋根をリフォームできるので、屋根の劣化が気になる頃に検討してみるのもいいかと思います。
ただし、屋根材の下に施されている瓦棒の劣化状況には十分注意する必要があります。
デメリットの部分でも紹介しましたが、屋根の修理が必要になった瓦棒葺き屋根の場合、瓦棒が水を吸って劣化が進んでいることが非常に多くなります。
この劣化した瓦棒を放置したままカバー工法で新しい屋根を取り付けると、傷んだ下地を放置することになり建物本体に腐食が広がってしまうおそれもあります。
その上、新しく取り付けた屋根により、下地のメンテナンスも困難になってしまいます。
瓦棒葺き屋根でカバー工法を採用するなら、瓦棒などの下地が腐食していないか十分調査してもらう必要があるでしょう。
もし、下地の劣化が激しいようなら、カバー工法より葺き替えを選択することをオススメします。
瓦棒葺き屋根のメンテナンスなら桜建装にお任せください
最近では非常に軽量な屋根材である、ガルバリウム鋼板の屋根の人気が高まっています。
ガルバリウム鋼板は、屋根材として非常に優れた性能を持ち合わせているので、今リフォームで最も使われている素材なのです。
長持ちする屋根に修理したいのなら、採用を検討してみるといいでしょう。
このガルバリウム鋼板の屋根にリフォームする場合にも、瓦棒葺きを採用できます。
特に、建物の高さ制限などの理由から、屋根の勾配が緩やかになってしまうなら、瓦棒葺きが最適と言えるかもしれません。
もし、堺市周辺で屋根の修理をご検討中なら、私たち桜建装へ一度相談してみてください。
私たちは屋根の専門店ですので、一般的なリフォーム会社よりも専門的に屋根の状態を見極めることができます。
もちろん、症状にあわせた最適なご提案をいたしますので、調査だけでも依頼してみてください。